石動雷十太 ねぇ、先生
由太郎とかいう子どもの家に入り浸っていた先生が帰ってきた。
嬉しい、嬉しい。
だけど先生は私とは真反対。すっかり落ち込んでいて、そんな先生を見ていると私の嬉しかった気持ちもしぼんでいく。
ねぇ、先生。なにがあったの?真古流はどうなったの?
先生は何も答えてくれなくて、ただ黙って俯いていた。
先生の肩にそっと触れてみる。以前は私の手を振り払ったり、叩き落としたりしていたのに今は何もしない。
項垂れた頭をそっと胸に抱きしめたら、先生は声を押し殺し、肩を小さく震わせた。
ねぇ、先生。私は強い先生はもちろん、弱い先生も好きよ。
みんなが離れてもずっとずっと、先生のそばにいる。だから、そんなに哀しそうに泣かないで。
先生がまた古流剣術の再興を目指すなら私が支えるから。また私を蔑ろにしても構わないから。先生を愛しているから幸せになって欲しいの。
あなたが私を愛さなくても、私はあなたを愛し続けるわ。
ねぇ、先生。大好きよ。
続き
2023.05.25